「この発疹、薬の副作用でしょうか?」
「薬を飲み始めてから気持ち悪いんですが、やめた方がいいですか?」
薬局では、こうした相談を受けることがあります。
体調に変化があると、「薬のせいかもしれない」と不安になりますよね。でも、副作用かどうかを自分だけで判断するのは難しいものです。
この記事では、薬の副作用かもしれないと思ったときに、患者さんが最初に何をすればよいのか、誰に相談できるのか、PMDAへどう報告するのかを、薬剤師の立場から順番に説明します。
最初に一番大切なこと
息苦しさ、顔・唇・舌・喉の腫れ、意識がもうろうとする、けいれん、広範囲の発疹や水ぶくれなど、緊急性が疑われる症状がある場合は、PMDAへの報告入力より先に医療機関を受診してください。息苦しい場合などは救急車を利用してください。
副作用かも?と思ったら、まず何をする?
副作用が疑われるときの基本的な流れは、次のとおりです。
- 緊急性のある症状か確認する
- 薬と症状の時間関係を整理する
- 処方した医師や薬剤師へ相談する
- 必要に応じてPMDAへ患者副作用報告を行う
「報告」と「受診・相談」は目的が違います。現在つらい症状がある場合、報告フォームへの入力より、症状を診てもらうことが先です。
薬剤師は何を確認する?
「これ、副作用ですか?」と相談されたとき、薬剤師でも、その場ですぐに副作用だと断定するわけではありません。
まず、次の内容を順番に確認します。
- 薬を飲み始めた日、または薬の量が変わった日
- 症状が出始めた日時
- 症状の内容と程度、悪化しているかどうか
- 処方薬以外の市販薬、サプリメント、健康食品
- 飲み忘れ、重複、自己判断での増減がなかったか
- すでに薬を中止しているか
- 薬以外に考えられる体調変化や病気がないか
薬を飲み始めた直後に症状が出たのか、何か月もたってから出たのか。薬を増量した直後なのか。ほかの薬を追加した後なのか。こうした時間関係は、副作用の可能性を考えるうえで大切な情報です。
薬剤師の回答例
「副作用の可能性はありますが、今の情報だけでは断定できません。いつから薬を飲み始めて、いつ症状が出たか確認させてください。ほかに飲んでいる薬や市販薬はありますか?自己判断で中止せず、緊急症状がなければ処方した先生にも確認しましょう」
薬によっては、急に中止すると元の病気が悪化したり、離脱症状が出たりすることがあります。そのため「副作用かもしれないから、すべてすぐ中止」が正解とは限りません。
ただし、市販薬の説明文書などに「直ちに服用を中止し、医師・薬剤師に相談」と記載されている症状が出た場合は、その指示に従ってください。
こんな症状は、報告入力より先に受診を
PMDAの重篤副作用疾患別対応マニュアルでは、アナフィラキシーを疑う症状として、まぶたや唇の腫れ、持続する咳込み、ぜーぜーする呼吸、息苦しさ、繰り返す嘔吐、ふらつきなどが挙げられています。
次のような場合は、報告方法を調べるより先に医療機関へ連絡してください。
- 息苦しい、呼吸がぜーぜーする
- 顔、唇、舌、口の中、喉が急に腫れた
- 意識がもうろうとする、反応がおかしい
- けいれんが続く
- 高熱とともに、広い範囲の発疹、水ぶくれ、目や口のただれが出た
- 症状が急速に悪化している
特に息苦しさやアナフィラキシーが疑われる場合は、救急車を利用して直ちに受診してください。
患者さんが誤解しやすい3つのこと
誤解1:副作用なら、薬を全部すぐにやめるべき
薬によって対応は異なります。急に中止してはいけない薬もあるため、緊急時を除き、自己判断だけで決めずに医師や薬剤師へ相談してください。
誤解2:添付文書に書かれていない症状は副作用ではない
薬を使う前に、すべての副作用が分かっているとは限りません。新しい副作用や、発生頻度が非常に低い副作用が、使用後の報告から分かることもあります。
誤解3:軽い症状や、医師に副作用と診断されていない症状は報告できない
PMDAは、副作用だと思われた症状であれば、程度にかかわらず患者さんから報告できると案内しています。医療機関で副作用と診断されていない症状も報告できます。
処方薬だけでなく、ドラッグストアなどで購入した一般用医薬品・要指導医薬品による症状、予防接種後の副反応も報告対象です。
相談と報告はどう違う?
| したいこと | 相談・手続き先 |
|---|---|
| 今ある症状を診てもらいたい | 医療機関。緊急時は救急要請 |
| 薬を続けるか相談したい | 処方医、薬局の薬剤師 |
| 薬の使用方法、副作用、飲み合わせを聞きたい | 薬剤師、PMDAくすり相談窓口 |
| 副作用情報を安全対策に役立ててほしい | PMDA患者副作用報告 |
| 副作用による健康被害の給付を申請したい | 医薬品副作用被害救済制度。患者副作用報告とは別手続き |
PMDAの患者副作用報告とは
PMDAでは、患者さん本人または家族から、医薬品による副作用が疑われる情報を受け付けています。集められた情報は、厚生労働省への報告や、さらなる安全対策が必要かどうかの検討に活用されます。
オンライン報告のほか、郵送でも報告できます。
オンライン報告前に準備するもの
- メールアドレス
- 薬の名前が分かるシート、薬袋、説明書
- お薬手帳
- 薬を使い始めた日、症状が出た日のメモ
- 併用していた処方薬、市販薬、サプリメントの情報
- 受診した医療機関の情報
PMDAの案内では、入力項目は約40項目、所要時間は約30分です。一定時間同じページにとどまるとセッションが切れるため、先に内容をメモしておくと進めやすくなります。
なお、PMDAへの患者副作用報告は、個別の診断や治療方法を回答してもらうための窓口ではありません。報告後に、個別の評価結果や安全対策の検討結果が返ってくる仕組みでもありません。
薬局へ相談するときに持っていくもの
- お薬手帳
- 薬袋、薬の現物、外箱、説明書
- 症状が出た日時と変化を書いたメモ
- 発疹や腫れなどの写真
- 使用中の市販薬、サプリメント、健康食品の情報
「こんな軽い症状で聞いていいのかな」と遠慮する必要はありません。薬との関係が分からない段階だからこそ、早めに相談してください。
薬剤師からひとこと
副作用かもしれないと感じたとき、報告することは大切です。患者さんから集まった情報が、将来の添付文書改訂や注意喚起につながることがあります。
ただし、今つらい症状がある方にとって、一番先に必要なのは「報告」ではなく「受診・相談」です。
緊急症状があるときは、報告入力より先に受診してください。
緊急性が分からないときも、薬の名前が分からないときも、お薬手帳や薬袋を持って医療機関や薬局へ相談してください。薬剤師は、薬を飲み始めた時期、症状が出た時期、併用薬などを一緒に整理できます。
参考情報
監修者:槇由紀子(調剤・訪問薬剤師 / 薬局経営 / 薬剤師歴20年以上)
情報は執筆時点のものです(2026年6月)。この記事は薬剤師の経験に基づくもので、診断・治療を保証するものではありません。気になる症状は医師・薬剤師にご相談ください。緊急性が疑われる場合は直ちに医療機関を受診してください。

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