GWが終わったのに、気持ちが戻ってこない
ゴールデンウィークが明けて、何日が経ちますか?「なんとなくやる気が出ない」「朝起きるのがつらい」「会社や学校に行こうとすると体が重い」……そんな気持ちを抱えていませんか?
これが、いわゆる「5月病」と呼ばれる状態です。多くの方が「なまけているだけ」「気持ちの問題」と自分を責めてしまいますが、それは違います。
訪問薬剤師として患者さんのご自宅にうかがい、調剤薬局でも13年以上働いてきた私が、薬の窓口から見えた「5月病のリアル」をお伝えします。
この記事でわかること
- 5月病はなぜ起こるのか
- 市販の睡眠薬を使い続けるリスク
- 「精神科=怖い」という誤解を解く
- GW明けに薬剤師がすすめるセルフケア
- 病院に行く目安
5月病とは何か——医学的には「適応障害」のことも
「5月病」は医学的な正式な病名ではありません。4〜5月に環境が大きく変わったあと(進学・就職・転勤・昇進など)、GW明けに心身の不調が出てくる状態の総称です。
医療機関では適応障害やうつ状態として診断されることが多く、「気のせい」では片づけられない状態です。
原因として挙げられるのは主に3つです。
- 環境の変化によるストレス——新しい職場・人間関係・生活リズムへの適応が、思いのほか心身を消耗させる
- GWによるリズムの乱れ——連休中に生活リズムが崩れ、社会復帰のタイミングで心身がついていけなくなる
- 「こんなはずじゃなかった」という落差——入社・進学前に抱いていた期待と現実のギャップが積み重なる
「市販の睡眠薬で何とかしよう」が裏目に出ることがある
5月病の悩みのなかで特によく相談されるのが、眠れないという問題です。
薬局でお薬をお渡ししながら、50代の女性からこんな相談を受けたことがあります。「眠れなくて、市販の睡眠改善薬を2錠ずつ飲んでいるんだけど、最近全然効かなくなってきた」とのこと。よく聞くと、2ヶ月近く毎晩飲み続けていたのだそうです。
市販の睡眠改善薬の主成分はジフェンヒドラミン塩酸塩という抗ヒスタミン薬です。添付文書には「連続して2週間を超えて使用しないこと」と明記されており、長く使い続けると耐性がついて同じ量では効かなくなります。
「眠れないから増やした」「増やしても効かなくなった」——このサイクルは危険です。睡眠の問題が2週間以上続くようであれば、市販薬で対処し続けるのではなく、医療機関への相談をおすすめします。
「精神科=重症」は誤解——受診のハードルを下げてほしい
「精神科に行く」という言葉に、なんとなく構えてしまう方はとても多いです。薬の窓口でよく聞く誤解を3つ挙げます。
- 「精神科に行く=重症の証拠」——精神科は、気分の落ち込みや睡眠のトラブルなど、軽い症状から診ています。初期のうちに相談するほど、回復も早くなります
- 「薬を飲むと依存する」——現在よく使われる抗うつ薬は依存性が低い薬が多く、医師の指示のもとで使えば、適切な時期に減薬・中止できます
- 「一生飲み続けないといけない」——症状が落ち着けば、多くの場合は段階的に減薬できます。最初から「一生飲む」と決まっているわけではありません
私が訪問でうかがっている20代の男性のご家族から、「本人が受診を嫌がって、家の中で荒れていて困っている」というご相談を受けたことがあります。その後、ご家族が根気強く声をかけ、まずかかりつけ医(内科)に相談したところ精神科へ紹介してもらえ、薬を服用しながら今は穏やかに過ごされています。
「精神科」が怖ければ、まずはかかりつけの内科に「眠れない・やる気が出ない」と伝えるところから始めてみてください。
薬剤師がすすめるGW明けのセルフケア
「まだ病院に行くほどではない」という方に、私がよくおすすめしているセルフケアをご紹介します。
- 早く寝る——起床時間を固定し、睡眠のリズムを整えることが最優先
- 寝る前のスマホをやめる——ブルーライトが睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を妨げます
- ヨガや軽い運動——体を動かすことで緊張がほぐれ、夜の睡眠の質も上がります
- 歩く——近所を10〜15分歩くだけでも、気分を安定させるセロトニンの分泌を促す効果が期待できます
- 湯船につかる——シャワーで済ませず、38〜40℃のお湯にゆっくりつかることで副交感神経が優位になり、眠りにつきやすくなります
自宅でヨガをはじめるなら
「ヨガを試してみたい」という方には、まず自宅で気軽にできる環境を整えることをおすすめします。専用のヨガマットがあると、続けやすくなります。
オンラインヨガ・スタジオで本格的に始めたい方へ
自宅でのヨガが生活に馴染んできたら、プロのインストラクターによるオンラインレッスンや、スタジオでの本格的なヨガにステップアップするのもおすすめです。
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病院に行く目安——こんな症状が2週間以上続いたら
- 眠れない・早朝に目が覚める日が続く
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 何もやる気が起きない・楽しめない
- 朝の気分が特につらい(夕方になると少し楽になる)
- 頭痛・胃痛・肩こりなど体の症状も続く
これらの症状が2週間以上続く場合は、セルフケアだけで乗り越えようとせず、医療機関に相談してください。5月病は、早めに適切なケアを受けることで、多くの場合回復できます。焦らず、ひとりで抱え込まないことが大切です。
市販薬を選ぶ際は、薬剤師に相談しながら自分に合ったものを見つけることが大切です。最近はオンライン薬局でも薬剤師に相談しながら購入できるサービスが増えています。忙しくて薬局に行けないときや、じっくり相談したいときに活用してみてください。
この記事は薬剤師が一般的な情報をお届けするものです。個別の症状や服薬については、必ず処方医・薬剤師にご相談ください。


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