「塩分は1日6g以内にしてください」
そう言われて家に帰り、スマホで検索した方もいるのではないでしょうか。「6gって……どうやって守るの?」と。
小さじ1杯の食塩がおよそ6g。つまり1日分の塩分は、たったそれだけです。「こんな量で何が作れるの?」と途方に暮れるのは当然です。家族の食事を作る配偶者の方は「間違えたら悪化させてしまう」というプレッシャーも感じているかもしれません。
薬剤師として高血圧・腎臓病・心臓病の患者さんと関わってきました。「塩分6gと言われたけど、実際どうすれば?」という声は何度も聞いてきました。この記事では、「実際にどうやるか」を中心に、計算が苦手な方でも今日から使える方法をお伝えします。
6gのリアルなイメージ
まず「6g」がどんな量か、身近な数字で感じてみてください。
- 食塩 小さじ1杯(6g)——これが1日の上限。たったこれだけです
- 日本人の平均摂取量は約10g(厚生労働省 国民健康・栄養調査より)——つまり今より4〜5g減らす必要がある
- 1食あたりの目安は約2g——朝・昼・夜で分けて考えると、少し気が楽になります
「2g × 3食 = 6g」——この感覚を持っておくだけで、1食ごとの判断がしやすくなります。
「1日分の塩を測って料理する」方法は不十分です
「朝に塩6gを計量して、それだけで1日料理する」という方法を聞いたことがある方もいるかもしれません。食塩の量を目で見てわかる点では一つのアイデアです。
でも、薬剤師として正直に言うと、これだけでは不十分だと感じています。
なぜなら、塩分は食塩だけに入っているわけではないからです。醤油・味噌・ソース・ドレッシング・めんつゆ……。これらにも塩分はたっぷり入っています。さらに、外食やコンビニの食事には計っていない塩分が大量に含まれています。
「食塩を6g測った」だけでは、1日の塩分摂取量は6gをはるかに超えていることがほとんどです。
「隠れ塩分」を知る——意外と多い食品・調味料
塩分を減らすには、まず「何に塩分が多いか」を把握することが大事です。
| 食品・調味料 | 塩分量の目安 |
|---|---|
| カップラーメン 1個(スープ含む) | 約5〜6g(ほぼ1日分!) |
| ラーメン 外食1杯(スープ含む) | 約5〜7g(1日分以上) |
| 醤油 大さじ1(18ml) | 約2.6g |
| 味噌汁 1杯 | 約1.2〜1.5g |
| 梅干し 1個 | 約2g |
| ウスターソース 大さじ1 | 約1.5g |
| うどん 1杯(つゆ含む) | 約3〜5g |
| 塩鮭 1切れ | 約1〜2g |
特に注意したいのがカップラーメン・インスタントラーメンです。訪問薬剤師として患者さんのお宅に伺うと、キッチンにインスタントラーメンが並んでいることが少なくありませんでした。1個で1日の上限に達してしまう塩分量が入っています。
計算しなくてもできる「習慣の置き換え」5つ
「毎食の塩分を計算する」のは現実的ではありません。それより、日々の習慣を少し変えるだけで、無理なく塩分を減らすことができます。以下は、薬剤師として患者さんにお伝えしてきたことと、私自身が実際にやっていることです。
① 醤油は「かける」→「つける」に変える
醤油を食べ物の上から「かける」と思いのほかたくさん使ってしまいます。小皿に少量だして「つける」だけで使用量が半分以下になります。刺身・卵かけご飯・冷奴——どれも「かける」が習慣になりがちなので、意識して変えてみてください。
② 味のついているものに追加調味料をかけない
餃子・シュウマイ・焼き魚——これらはすでに塩味がついています。そこにさらに醤油・ポン酢・ソースをかけるのが習慣になっていませんか?「味のついているものには追加しない」と決めるだけで、塩分がかなり減ります。
③ 汁を残す・飲まない
ラーメンのスープ・うどんのつゆ・みそ汁——汁物の塩分は非常に多い。スープを飲み干すだけで2〜5gの塩分をとることになります。「汁は残す」を習慣にするだけで、1日の塩分量が大きく変わります。
④ 塩分控えめの調味料に置き換える
醤油・味噌・ソース・めんつゆには「減塩」タイプが市販されています。味はほぼ変わらず、塩分量が30〜50%カットされているものが多い。買い物の際に「減塩」を選ぶ習慣をつけるだけで、毎日少しずつ積み上がります。
⑤ インスタントラーメン・カップ麺を食べない
1食で1日分の塩分がとれてしまうインスタントラーメン。「スープを飲まなければ」という方もいますが、麺にも塩分が含まれているため、完全に避けることが近道です。塩分の少ない麺類(うどんやそうめん)を薄いつゆで食べる習慣に切り替えるのが現実的です。
外食・コンビニでの「塩分を減らす選び方」
外食やコンビニを完全にやめる必要はありません。選び方と食べ方を変えることで対応できます。
- ラーメン・うどん・そば:スープ・つゆを残す(半分残すだけで塩分が2〜3g減る)
- 定食:みそ汁を残す・しょうゆは「つける」に
- コンビニ惣菜:パッケージの「食塩相当量」を確認する習慣をつける
- 避けたいもの:カップ麺・漬物・加工肉(ハム・ウインナー)・塩辛系の惣菜
「だし」と「酸味」を活用すると薄味でも満足できる
減塩でつらいのは「味気ない」こと。次の工夫で、塩分が少なくても満足感を得られます。
- 🍵 だしをきかせる:かつお・昆布・煮干しのだしは塩分ゼロでも旨みが出る。市販のだしパックを使えば手間もかかりません
- 🍋 酸味を活用する:レモン・酢・ゆずをかけると、塩分が少なくても味を感じやすくなる。焼き魚にレモンをかけるだけで醤油が不要に
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薬剤師からひとこと
「塩分6gと言われても、完璧に守ろうとしなくていいんです」——そうお伝えすることが多かった。
今日から5つ全部やろうとしなくていい。「醤油をかけずにつける」ただそれだけを今日変えるだけでも、積み重なれば確実に変わります。1つずつ習慣を置き換えていくことが、無理なく続けるコツです。
「具体的にどうすれば?」という疑問は、かかりつけ薬局の薬剤師にも気軽に聞いてください。薬のことだけでなく、食事のことも相談できます。
監修者:槇由紀子(調剤・訪問薬剤師 / 薬局経営 / 薬剤師歴13年以上)
情報は執筆時点のものです(2026年6月)。食事療法については必ず担当医・管理栄養士にご相談ください。

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